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HDR by CS2

現在、ちょっとだけ凝っていることがあります。
今日はわざわざ、極端な明暗差があるところを探して歩きました。

この画像に違和感を感じますか?
どこが 「おかしい」 または 「不自然」 なのでしょう。
HDR by CS2_c0017665_21203617.jpg




Photoshop CS2 には、(CS までに比べ)いくつかの新機能が付加されています。
その中でもっとも注目していたのが、HDR = High Dynamic Range 処理です。
画像1ピクセルを 96bits 程度(HDR にはいくつかの流儀があり、かならずしも96bits フルに利用するわけではありません)で表現し、理論上のダイナミックレンジ上限は 「10の77乗」、天体でいえば、6等星から、真夏・真昼の太陽の明るさまでをも欠落・飽和することなく記録できるフォーマットです。
これは注目度が高いだろうと予想していたのですが、CS2 英語版が出て2ヶ月、日本語試用版から1ヶ月以上、日本語正式版が出て2週間も経過するのに、ネット上ではあまり取り上げられていません。

たとえば、今日の写真。

遠方のホテルを適正露出にすると、橋の通路は真っ黒です。
HDR by CS2_c0017665_21212716.jpg


自動分割測光では、これくらいが最適値でしょうか。まだ通路・天井のディテールが表現されていません。
従来ならこの程度で妥協し、多少のリタッチでごまかすところです。
HDR by CS2_c0017665_21213495.jpg


通路・天井を適正露出にすると、ホテル・戸外は明るすぎてブッl飛んでいます。
HDR by CS2_c0017665_21214234.jpg
*ist DS + Pentax DA 16-45mm F4 ED AL


これら3枚は、真ん中の写真から、-2EV 、+2EV オートブラケッティングで(手持ち)撮影したものです。

この3枚を選択し、CS2 の「HDR に統合」機能を利用すると、自動的に 32bits HDR 画像に合成してくれます。
ここまでの操作は「全自動」というか、全く手出しが許されません。ユーザーにできることは、「露出が異なる、全く同一シーンの写真を集めること」ただそれだけです。
「RAW 1枚から、±2EV 程度は作れるだろう。」
私もそう思っていました。ところが、そんな手抜き作業をすると、画像統合の途中に
「十分なダイナミックレンジが得られません。作業を中断します。」
とアラートされます。まじめに露出を変えて撮影することです。

ただし、できあがった HDR 画像のままでは、(たかだか 100 のオーダーの)PC画面では(着目露出の程度により)真っ白または真っ黒にしか見えません。

このあと、広大なダイナミックレンジを、再び 8 bits に押し込める作業が必要です。4通りの方法があります。
1.露出とガンマ
2.ハイライト圧縮
3.ヒストグラムを平均化
4.ローカル割付
言葉だけでは、さっぱりわかりません。試行あるのみです。
実際に試したところ、使い物になるのは「ローカル割付」の方法だけです。
(英語では、「Tone Mapping」と呼ぶそうです。 どうせなら「トーン割付」と訳して欲しかった。)
「ローカル割付」または「Tone Mapping」の作業は非常に困難を極めます。別の言い方をすれば「大いに楽しめます。」

HDR 画像の保存においても、
Radiance
OpenEXR
など、いくつか新しい言葉・概念が登場します。

1枚目の画像(もはや写真とはいえない)はいかがでしょうか?
私はデジタルのダイナミックレンジの狭さと、デジタルであるにもかかわらず広げることができないもどかしさに悩んでいたため、非常に気に入っています。
これで暗い室内+戸外の風景も、曇天の空も、人の眼のダイナミックレンジに一歩近づくことができました。あとは、色彩・彩度調節を工夫しなければなりません。

そう、数日前の雲の写真も、この方法で合成したものです。
ネタがなくなれば、HDR 合成を提示します。こちらのネタなら(1ヶ月以上、密かに修行していたので)当分ストック十分です。
(^_^)
by ascesis | 2005-07-16 21:41 | ☆ ソフトウェア
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